取引先から商品券を受け取って、会計や税務でどう扱えばいいか戸惑っていませんか。
仕訳の方法、収益計上の時期、消費税や所得税・贈与税との関係、接待交際費か福利厚生かといった判断は誤ると税務リスクになります。
この記事では実務で使える仕訳例やケース別の取り扱い、申告時に注意すべきポイントをわかりやすく解説します。
受領時の仕訳、収益認識、消費税の取扱い、役員や個人事業主の処理、評価額算定まで網羅しています。
まずは基本的な会計処理から具体的な仕訳例へ進み、実務で使えるチェックポイントを確認していきましょう。
取引先から商品券をもらったときの会計と税務対応
取引先から商品券を受け取った場合、会計処理と税務判断は目的と受領主体によって異なります。
ここでは受領時の仕訳や収益認識のタイミング、消費税や所得税上の取り扱いなど、実務で迷いやすいポイントを整理します。
受領時の仕訳
商品券を受け取った段階では、原則として資産として計上するのが基本です。
具体的には借方に「商品券」などの資産勘定を立て、貸方にその性格に応じて「雑収入」や「受取寄付金」などを使います。
ただし、その商品券をすぐに従業員への賞与や得意先への引換物として使用する予定がある場合は、発生主義に基づき負債計上や費用振替を検討します。
より具体的な法人・個人別の仕訳例は、商品券を受け取ったときの勘定科目でケースごとに整理していますので、実務対応の参考にしてください。

収益認識のタイミング
商品券が取引の対価として交付された場合には、供給の時点で収益が認識されます。
一方で、単なる贈与性の高い受領であれば、受領時点で雑収入として認識するのが一般的です。
受領後に使用目的が明確になったり、第三者に移転したりする場合は、その時点で収益や費用の振替を行います。
消費税の取扱い
商品券自体は金銭同然の性質を持つため、受領時点で通常の消費税の課税取引は発生しません。
消費税は商品券が実際に使用され、対価として物品やサービスが提供された時点において課税されます。
ただし、発行者が販売時に消費税相当額を預かる仕組みになっている商品券もあるため、発行体系を確認する必要があります。
券種ごとのおつりや取り扱いの違いが実務判断に影響することがあるため、お釣りが出る商品券の一覧も合わせて確認しておくと安心です。

所得税上の分類
個人が受け取った商品券の所得区分は、発生原因により分かれます。
- 事業の対価
- 一時所得
- 給与所得
- 雑所得
事業の対価であれば事業所得に計上し、給与とみなされる場合は給与所得として扱います。
贈与性が強く一時的なものは一時所得の判定対象になりますので、個人のケースごとに原因を整理してください。
源泉徴収の要否
法人が受け取る商品券については、原則として源泉徴収の対象にはなりません。
個人に対する付与で、実質的に報酬や給与の性格を有する場合は源泉徴収が必要となる可能性があります。
したがって、誰に対して何のために渡されたのかを明確にして、源泉徴収の要否を判断してください。
業界特有の規制や事例も参考になるため、業界ごとの対応を知りたい場合は、保険相談で商品券が禁止されたのはなぜもご参照ください。

一時所得の判定
個人が受け取った商品券を一時所得として扱うかどうかは、反復性や対価性が判断基準になります。
単発で贈与性が明らかな場合は一時所得に該当し、特別控除や課税方法が適用されます。
しかし、業務の対価や継続的な報酬と認められる場合は一時所得とはならないため、証憑や背景を整えることが重要です。
評価額の算定
商品券の評価は、通常額面金額を基準に行います。
額面と実勢価値が乖離している場合は、時価をもって評価することが望ましいです。
| 評価方法 | ポイント |
|---|---|
| 額面金額 | そのまま計上 |
| 取得原価 | 実際の支出額で評価 |
| 時価評価 | 利用制限がある場合や割引がある場合の評価 |
いずれの方法を採るにしても、合理的な根拠と証憑の保管が必要です。
会計処理の具体手順
取引先から商品券を受領したときの会計処理は、受領の事実を正確に記録することから始まります。
そのうえで、仕訳入力と勘定科目の選定を丁寧に行うことが、税務上のリスク回避につながります。
以下では、実務的に必要な手順を受領記録、仕訳入力、勘定科目の選定の順で分かりやすく解説します。
受領記録
まず受領した日時と発行元、商品券の種類および額面を記録してください。
受領時の証憑として、商品券の写しや受領書、メールのやり取りを必ず保存することをおすすめします。
社内の物品受領台帳や経理システムに記録し、担当者の確認印や承認を残すと後の照合が容易になります。
高額な場合や頻繁に受領する場合は、管理番号を付して専用の管理台帳で一括管理すると安全です。
仕訳入力
仕訳入力では、受領時点での処理と、実際に使用や換金した時点での処理を分けて考えます。
- 受領の記録
- 仮受け計上
- 収益計上または福利厚生振替
- 換金時の現金預金反映
受領直後に即座に収益として計上せず、まずは仮受金や雑収入などの科目で保留する運用が一般的です。
その後、使用目的や受領者の属性に応じて、接待交際費や福利厚生費、寄附金などへ振り替えます。
勘定科目の選定
勘定科目は商品券の性質と受領者の属性によって変わりますので、判断基準を明確にしておくことが重要です。
以下の表は代表的なケースと推奨科目の例を示していますので、実際の状況に合わせてご参照ください。
| ケース | 推奨科目 |
|---|---|
| 法人間の贈答 | 接待交際費 |
| 従業員に対する福利 | 福利厚生費 |
| 個人事業主の営業取引 | 雑収入 |
| 役員個人への授与 | 役員賞与相当 |
表にない特殊なケースでは、税理士と相談のうえで科目を確定させると安心です。
いずれの場合も、科目の選定理由を証憑とともに明確に保存しておいてください。
仕訳例とケース別処理
ここでは受領した商品券に対する具体的な仕訳例と、代表的なケース別の処理方針を示します。
法人受領、役員への授与、個人事業主の受領に分けて、実務で使える記帳例を中心に解説します。
法人間贈答
取引先から受け取った商品券が対価性を伴うか単なる贈答かで仕訳が変わります。
まずは受領時点での区分を明確にしておくことが重要です。
| ケース | 受領時の借方 | 受領時の貸方 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 対価として受領 | 商品券(資産計上) | 売上高 | 売上として課税関係を確認 |
| 贈答として受領 | 商品券(資産計上) | 雑収入 | 一時的な収益として処理 |
| 前受としての受領 | 商品券(資産計上) | 前受金 | 将来の履行に対応 |
上表は代表的な仕訳の考え方を示しています。
換金または使用時には商品券勘定を減らして現金や費用に振り替えます。
例として対価で受領した場合の基本仕訳を示します。
受領時 借方 商品券 10,000円 貸方 売上高 10,000円。
換金時 借方 現金預金 10,000円 貸方 商品券 10,000円。
役員への授与
役員に商品券を渡す場合には、税務上の取り扱いが厳格になる点に注意が必要です。
会社側の損金算入や受領者側の課税関係が問題となりやすいです。
- 支給目的の明確化
- 支給の均衡性
- 社内承認の有無
- 源泉徴収の要否
- 損金算入の可否
一般的に役員への金銭的給付は給与課税の対象となり、所定の手続きがないと損金不算入となります。
少額の慰労や社内共通の福利厚生に該当する場合は非課税扱いとなることもあります。
ただし役員への扱いは基準が厳しいため、支給前に税理士と確認することをおすすめします。
個人事業主の受領
個人事業主が商品券を受け取った場合、事業に関連する収入なら事業収入として計上します。
事業に無関係な私的な贈与であれば事業収入とはせず、課税関係を分けて管理する必要があります。
事業収入として処理する例を示します。
受領時 借方 商品券 5,000円 貸方 事業収入(雑収入) 5,000円。
換金時 借方 現金 5,000円 貸方 商品券 5,000円。
一時的な謝礼や個人的な贈与に該当するかどうかは受領の目的や頻度で判断します。
確定申告上の扱いが不明な場合は、受領時の証憑を残して税理士に相談してください。
税務上の注意点
取引先から商品券を受け取ったときに税務上で注意すべきポイントを整理します。
消費税、所得税、贈与税、源泉徴収の観点から、それぞれの判定基準と実務対応をわかりやすく解説します。
消費税
商品券の受領時点に消費税が課されるかどうかは、受領が対価性を伴うかどうかで判断します。
- 受領時に消費税は課されない
- 引換時に販売者が消費税を課税する
- 多目的券と単一目的券で取扱いが異なる場合がある
- 事業者が販売した場合の課税関係に注意
受領側の事業者が単に贈与として商品券を受け取った場合、受領時点で消費税の課税対象には通常なりません。
しかし、商品券を発行した事業者側や、商品券を販売した業者がいる場合、その引換時に商品やサービスの対価として消費税が顧客に請求される点に注意してください。
また、制度上は多目的に使えるプリペイド型の商品券と、特定の商品に限る単一目的の商品券で扱いが異なることがあるため、発行者の取扱い区分を確認すると実務で安心です。
所得税
受領者が法人であるか個人であるかで、税務上の取扱いが分かれます。
法人が取引先から商品券を受け取った場合は、原則として収益又は雑収入として課税対象になります。
個人事業主や個人が受け取った場合、業務に関連して受け取ったものなら事業所得の収入に算入するのが通常です。
一方で、業務と直接関係のない突発的な贈与に近い受領であれば、一時所得や雑所得の判定が問題になります。
金額や頻度、対価関係の有無、受領の背景などを総合して、どの所得区分に該当するかを判断してください。
評価額は基本的に商品券の額面金額で判断されますが、受領時に額面と実勢価値が乖離している場合は実勢価値を確認する必要があります。
税務上のリスクを下げるため、受領理由ややりとりの記録、受領証明などの証憑を必ず保管してください。
贈与税
贈与税が課されるかどうかは、贈与者と受贈者の属性で判断されます。
| 受贈者 | 税務上の取扱い |
|---|---|
| 法人 | 法人税の対象となる場合がある |
| 個人(従業員) | 給与課税として扱われる可能性がある |
| 個人(取引先からの贈与) | 贈与税の対象外となる場合がある |
一般に贈与税は個人が他の個人から贈与を受けた場合に課税されます。
従って、法人が個人に商品券を渡したケースでは、贈与税ではなく受け取る個人の所得課税が問題になることが多い点に留意してください。
特に従業員への付与は給与性が強く、給与課税として源泉徴収や社会保険の問題につながることがあります。
高額かつ繰り返しの授受がある場合は、税務署や税理士に相談して事前確認することをおすすめします。
源泉徴収
商品券の授受に伴って源泉徴収が必要かどうかは、支払の性質によって決まります。
例えば支払が報酬や料金の対価と認められる場合には、支払者に源泉徴収義務が生じることがあります。
反対に、単純な贈与であり対価性がない場合は、通常源泉徴収は不要です。
従業員に対する支給であれば、給与扱いとなり給与所得の源泉徴収が必要になる点に注意してください。
判断が難しい場合は、支払理由や取引関係を整理して書面で残すとともに、税務署や専門家に相談して対応を確実にしてください。
接待交際費と福利厚生の判定基準
取引先から受け取った商品券が接待交際費に該当するか、福利厚生費に該当するかで会計処理と税務上の取り扱いが変わります。
判断は目的や対象、金額や頻度などを総合的に勘案して行います。
ここでは実務で使える判定ポイントと証憑要件を具体的に解説いたします。
接待交際費判定
接待交際費は外部との取引関係を維持拡大する目的で支出される費用として扱います。
判断のための主要ポイントを表で示します。
| 判定項目 | 接待交際費 | 福利厚生 |
|---|---|---|
| 目的 | 取引関係の維持促進 | 従業員の福利厚生向上 |
| 対象 | 得意先や外部関係者 | 従業員およびその家族 |
| 金額基準 | 相場に応じた支出 | 一般常識的な少額の給付 |
| 頻度 | 不定期または取引促進の都度 | 恒常的または全社的 |
| 処理方法 | 交際費勘定で処理 | 福利厚生費勘定で処理 |
表の基準を踏まえると、取引先や顧客に渡す商品券は接待交際費に該当しやすく、外部関係を目的とした支出であることが要件になります。
ただし、たとえば社内イベントで外部講師を招いた際に参加者に配る商品券のように、従業員福利を主目的とする場合は福利厚生に振り分けられます。
個別事案では目的と受益者の関係を明確に証憑で残すことが最も重要です。
得意先向けの贈呈に適した券種や使える店舗を確認したい場合は、グルメカードが使えるお店を業態別・地域別に完全網羅が役に立ちます。

福利厚生判定
福利厚生費は従業員の労働意欲向上や健康保持など、従業員全体の利益を目的とした支出です。
給付が特定の個人に偏らないことが要請されます。
例えば全社員を対象とした慰安会や健康診断に伴う費用は福利厚生に該当しやすいです。
ただし、金額が大きい贈与や役員のみを対象とした給付は給与課税や交際費扱いとなるリスクがあります。
福利厚生に該当させるには支給の基準が明確であり、社内規程や実施記録により平等性が確認できることが重要です。
法令上の厳密な上限はありませんが、通達や実務上は一般常識的な金額と頻度であるかどうかが見られます。
証憑要件
税務調査では目的と受益者が確認できる証憑が不可欠です。
最低限保管すべき項目を箇条書きで示します。
- 受領日と場所
- 受領者の氏名
- 給付の目的
- 金額または額面
- 参加者名簿
- 領収書または受領証
これらの証憑があれば、支出の性格が客観的に説明しやすくなります。
保存期間は法人税の観点では原則七年間とされるケースが多いので、長期保管を推奨いたします。
実務では領収書だけでなく、社内稟議書やイベント企画書、参加者の署名入り名簿などを併せて保存すると安心です。
不明点が残る場合は税理士や所轄税務署に相談し、判断を仰ぐことを推奨いたします。
商品券の現物確認や残高チェックの実務手順については、QUOカード残金確認の実践ガイドで具体的に解説していますので、証憑保存と併せてご覧ください。

実務で必ず確認するポイント
取引先から商品券を受領した際に実務で必ず確認すべきポイントを端的に整理します。
まずは受領の事実を証明する書類、相手先名、受領年月日、金額を確認して保存してください。
次に会計処理の勘定科目と評価額、収益認識時期を確定し、税務上の取り扱いが接待交際費・福利厚生・一時所得のいずれに該当するか判断します。
源泉徴収や消費税の適用可否も忘れないでください。
疑義がある場合は税理士や顧問に速やかに相談することをお勧めします。
- 受領証憑(領収書、メール、契約書)
- 商品券の種類と有効期限
- 金額の評価方法(額面か時価か)
- 勘定科目候補(受取寄附金、雑収入、交際費、福利厚生費)
- 課税関係(消費税、源泉徴収、贈与税)
- 社内規程や支給基準の有無

